小説執筆日記

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10月9日

嗚呼、やってきた作家のスランプ

 小説を書く、漫画を描く、絵を描く。

 これらには共通するスランプが存在します。

 それは、自分のやっていること、書いていることが無駄なのではないかと言う思い込みです。

 この状態に陥ると中々抜け出すのに時間がかかってしまいます。

 何を隠そう今の私がその状態に該当するのですから。

 この日記だって頑張って書いているけど、それは音楽の力を借りて無理やり集中力を上げているに過ぎません。

 音楽を聴くだけで大分集中力がアップするんですけど、それだって限界があり、ある程度続くとやっぱりスランプに陥ります。

 まだまだアマチュアでしかない私ですが、この状態に陥ることで幾人者先人達がいかに凄まじい精神力をもっていたかが分かります。

 毎週休みがない週刊連載の漫画作家なんか特にそうです。

 自分の書いているものが面白くないのではないかと言う悪魔の囁きと必死に戦いそれを乗り越えて作品を書く。

 彼等はまさに尊敬に値する人たちだと思います。

 というのも小説家にしろ漫画家にしろイラストレーターにしろ、自分の心と向かい合う作業だからなんですね。

 自分との戦いなんですよ。作家というのは。

 私が始めて小説を書くことに目覚めた中学3年生のころ。あの頃は本当に無鉄砲だったなと私は思います。

 誰かに読んで欲しいと思って当時ノートに大量に殴り書きしていた頃なんですが、あの頃は本当に自分の書いたものが他の何よりも優れた存在だと疑わなかった。

 この頃は文章を書くことが本当に楽しくて仕方がなかったんだと思います。

 いや今でも楽しいですよ。もちろん。

 ただ、無鉄砲だったあの頃よりも今ははるかに人に見せることを意識して小説を書いています。

 自分の書いているものが100%正しくて素晴らしいという思い込みを持っていた中学3年生の頃と、何が正しくて何が間違っているのかを「技術」と言う側面から知った今となってはやっぱり精神的に感じるものは大きく違っています。

 自分の文章の、何が正しくて何が間違っているのか。

 それを常に意識して書いている為、常に心をすり減らして書くことになるんです。

 私は小説を書く作業はある種の地獄だと思っています。

 何故なら、自分の描きたい世界。それを文章と言う形にするのはとても苦行なのです。

 これはアマチュア小説家全てが、最初に小説を書こうとしたときに知ることです。

 小説家を志した人は自分の頭の中にある素晴らしい設定とかを考えることに夢中になることは出来てもそれを表現することがどれだけ難しいことかは書き始めるまでわからないのです。

 そしてその難しさを知ってしまい、書く気が起こらなくなり結局書くことをやめてしまう。

 そして、傑作は世に出ることなく消滅していく。こんなことは日常茶飯事です。

 小説家というのは「絵が描けないから小説家で……」なんて甘い考えでやっていられる職業ではないのです。

 私は文章で何かを表現すると言うことの面白さに取り付かれた人間です。

 そしてそういう人間が作家と言うものになれるのだと私は思います。

 今私は若干スランプ気味ですが、これだって乗り越えようと思えば乗り越えることは出来ます。

 出なければ続きが書けませんからね。

 ということで私は今日も頑張って小説を書いてます。

 それでは皆さんまたお会いしましょう。

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