皆さんは日本の出版業界についてどれだけご存知だろうか? 普段ライトノベルや深夜アニメをほとんど見ない私でさえ知っている「らきすた」、「涼宮ハルヒの憂鬱シリーズ」、最近アニメ化された「けいおん」や去年までアニメで連載していた「絶対可憐チルドレン」、新刊が出るたびに跳ぶように売れ、ブックオフに並んでいることさえほとんどない「ワンピース」などなど…… これらは確かに売れている。ものすごく売れている。売れているからアニメ化されメディアミックスも盛んに行われる。 しかし、これらは出版業界全体から見るとほんの一部に過ぎない。 今回はある小説作法書の紹介と共に、この出版業界についてお話してみようと思う。 私は小説を書くことが好きだ。ストーリーを作ることが好きだ。キャラクターの性格や設定を考えているときなんかは物書きとして至福ともいえる瞬間でもある。 しかし、作ったものが決して売れるとは限らない。また、売れても返品され最後には再生紙にされて処分されると言う厳しい現実も存在している。 つまり何が言いたいのかと言うと、出版業界の新刊のうち、40%がこの再生紙となってしまうことを意味すると言うことである。 返品率40%……。この数字が何を意味しているか? 単純に考えればこれは売れていないと言うことを意味する。 では、書店は売れない本を40%も置いているのか? と言われたらそれは違うと言わざるを得ない。 書店だって好きで40%も売れない本を棚に並べたいわけではないのだから。 皆さんは一ヶ月で書店に入ってくる本が一体何冊くらいあるのかご存知だろうか? その数、ざっと十数万本。言わなくても多すぎであることがわかるであろう。 そして先ほどあげたコミックやライトノベル達はこの中の一部に過ぎないのだ。 これらが数百万部売れたところで、それ以外のものが全て売れなければ全体としてみた場合売れているものはほんの一部にしかならないのだ。 要するに書店の現状は余剰在庫で溢れかえっているということが言える。毎月入ってくる新刊や雑誌などの本の40%は売れない本になってしまうのだ。 ここを呼んでいる多くの人も気づくと思うが、この数字ははっきり言って異常である。 単純に考えてみて欲しい。例えば貴方が小説を書いて世に売り出したとする。それが100冊だった場合40冊が返って来る。なんともコメントしにくい現状と言えはしないだろうか? 出版業界と書店はこの現状を回避するために必死になって売れるものを探し、書店に並べ、売れなかったものは返品のサイクルを繰り返している。しかし、このサイクルを少しでも止めようものなら回遊魚のごとく死んでしまうのだ。 打開策はいまだなく、出版業界と書店の未来は不透明と言わざるを得ない。 一方、出版大国ドイツはどうか? ドイツでの返品率は日本の40%に比べて僅か10%である。 この差は一体何なのかと言うと、ドイツでは書店員や編集者を育てる学校が存在していて、そこで徹底的に書店経営学やその他もろもろの売れる要素を叩き込まれるからである。 さらにもう1つ。ドイツでは日本に比べて書籍の流通経路が整理されていると言う実情も存在する。 日本の場合書店が出版社に注文をかけたら、約1週間〜2週間ほど時間がかかるのに対し、ドイツでは在庫がある場合、次の日には配送に取り掛かっていると言う。 なるほど。これは勝てるわけがない。日本が出版に対して鈍足なのに対し、ドイツではその辺りを全てカバーするための流通網の整理と、経営のノウハウがある。 それを一般のアルバイトに毛が生えた程度の書店員や店長が返品率をなくし現状を打開するなんて不可能に決まっている。 ………………………………………………………… なぜこんな大仰な話しを始めたのかというと、小説を書くものとしてこれはぜひとも知っておくべきことではないかと思ったからです。 作り手として小説を書くということがどういうことなのか。売れる作品とはどういうものなのかを冷静な目で分析するべきときなのではないかと考え、私はえらそうに講釈たれたわけですよ(それにしても本当にえらそうですな(´▽`)タハハ……)。 さて、ここで少々話しの方向を変えましょう。 今出版業界は、業界を引っ張るほどの強い力を持った作品を渇望しています。 その作品が何であるかはわかりませんが、その1つに小説も含まれていることは事実です。 では小説、もといストーリーを動かすものは何か? そもそもストーリーを作る上でもっとも大事なものは何か? それはキャラクターです。 キャラクターがあり、ストーリーがあり、舞台がある。そして1つの作品が作られる。 そういった作品を作る手助けをする書籍として私はこの作法書を推薦したいと思います。 その名は「キャラクター設計教室」です。 似たようなものを前回紹介したと思いますが、それもそのはずで、前回紹介した「ライトノベル創作教室」と著作を同じにする「ライトノベル作法研究所」による著なのだから。 さて、この本には何が書かれているのかと言うと、先ほどまで私が講釈たれていた出版業界の現状をより細かく、より詳しく紹介した上で、どういう作品が小説の選考に選ばれるのかを32項目解説。 さらにインパクトのある作品の作り方と、人間としてのキャラクターを作るための手段、やキャラマップの作成法なんかを詳しく解説しています。 さらにラノベ作法研究所と言うサイトにて蓄積された過去のQ&Aからキャラクター作成のノウハウを解説しており、キャラクターが上手に作れないとお悩みの人には是非お勧めしたい一冊です。 既にある程度小説を書き進めている私には必要ないのでは? と思われる方もいるかもしれないし、私自身自分の物書きとしての実力にはある程度自身があるのですが、やっぱり初心は忘れてはならぬと思い購入したのがこの本でした。 まさかここで書いたような大仰な出版業界の話から始まるとは夢にも思いませんでしたが……。 因みに、私がキャラクターを設計する時の心構えとして考えていることはおおむね次の通りです。 ・メインキャラにかぶりはないか? ・キャラクターの口癖はあるか? ・台詞だけを見てキャラクターの違いがわかるか? ・そのキャラクターに突き抜けたところはあるか? ・そのキャラクターのバックグラウンドはあるか? と言ったところでしょうか? あわせて参考にでもしてください。 最後に巻末のキャラクター用語集で聞き捨てならないことがあったのでを一言。 ボク少女より俺少女のほうが有名だと!? 許せん! (´V`)ムキー! すいません……失礼しました。では! |
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