クロガネ・ジェネシス

エピソード2

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 朝。いつものように私は目を覚ます。

 時間は6時半過ぎ。仲間達はあと30分は寝ている頃だろう。

 エルマ神殿にいた頃はこれくらいの起床が普通だった。今もそれは変わらない。

 いつもの法衣服に着替え、仲間たちより早く1階の食堂へ向かう。

 私の名はアーネスカ・グリネイド。旅をしているエルマの騎士と呼ばれる女性騎士だ。

 私は今ルーセリア北の町、エストの町の宿屋にいる。

 食堂ではまだ食事には手をつけず、紅茶を飲みながら考え事にふける。最近の私はそんなことが多い。

 考えているのは亜人と人間について。

 自然界はとても残酷だ。

 誰に助けを求めたくても、人間のようにいつでも助けてくれる存在があるわけでもなく、殺されるときは容赦なく殺される。

 生きたまま体を食い千切られ、生きたまま死に行く命も珍しくはない。そして、そんな状態に置かれた仲間を助けたくても助けられない事だってある。

 でも人間は違う。

 人間は群れで行動し、自分達の命を何よりも尊重する生き物だ。

 そうであるのなら、なぜ人間はお互いを殺しあう戦争をするのだろう?

 その答えは、人間は派閥に分かれたがる生き物だからだと私は考える。

 人間は、特定の派閥に分かれることで、その派閥の力を誇示したがる。

 そして、どちらが強いかを示すため、または自分達の生きる領土を広げるために他人の領土を侵そうとする。

 それが人間であるとするのなら……。

 亜人はなんなんだろう?

 なぜ、亜人は人間を憎む?

 なぜ、人間と亜人は対立しあう?

 私は亜人に両親を殺された。

 だから亜人を憎んでいた。だけど、その連鎖が戦争と言うものに発展していくとしたらどうだろう。

 憎しみの連鎖が延々続くのなら、人間と亜人が和解することなど不可能だ。

 だから、どちらかが妥協することでしか人間と亜人が手を取り合うことは出来ない。

 恐らく、亜人が人間を憎む理由から解決法を見出すことは出来ないだろう。

 エルノク国は亜人についての研究を盛んに行っている国だ。

 正直あんまり気乗りはしないけど、言ってみる価値はあるだろう。

 エルノク国。私の生まれ故郷へ。

 そんなことを考えながら私はまた一口紅茶をすすった。

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